2002年度地球こどもクラブ賞(中学生部門)〜一つのボールから考えたこと ー 全てに思いやりを

サッカーワールドカップ開催まであと半月。

日本中でサッカー熱が高くなっている。ぼく自身サッカー少年で、試合を見るのを楽しみにしていた。そんな時、「日本の子供達にとってサッカーは見るものかもしれないが、学校にも行けず、サッカーボールを縫っている少年が世界にたくさんいることを忘れてはならない」という文を目にした。また、先日は、ユニセフとFIFAの子どものためのワールドサッカーデー設立セッションに参加したが、その中での岡野会長の「僕達がサッカーを始めた時、一チームに与えられたボールは、一年間で二個だけでした。そのボールを大切に修理しながら使いました。」

というお話が心に強く残った。また、神戸の女子チームがアフガニスタンの子ども達へサッカーボールを送る活動を紹介された。

アフガニスタンは、戦争や地震で住む環境を破壊されている。地震という天災は人の力で防ぐことはできないけど、戦争は、人が起こした人災である。人はよく「科学の進歩が環境を破壊した」と言うけど、戦争行為も環境を大きく破壊していることを忘れてはならないと思う。人を思いやる心、花や動物を思いやる心、地球や宇宙を思いやる心が少しでもあれば、自分から環境を壊すようなことはしなくなるのではないだろうか。

神戸の子たちは、地震を経験しているが、その時、皆に助けてもらったので、今度は、自分たちがお返しをする番だと語っていた。アフガニスタンの子ども達へ送るボールは新品ではなく、彼女たちのチームや、活動に賛同したチームが大切に使用しているボールを集めた物だった。大切なボールを譲るということは、物を大切にすること、人を思いやること、そして最終的に地球を守ることにつながるような気がした。

物を大切にするということで、僕達兄弟はけっこう古い物を今でも使っている。一番古い物は三十五年くらい前の母のピアニカ。楽器店にもう部品はないが、器用な祖父が修理してくれる。残念ながら僕は着ることができなかったが叔父の学生服を兄は着ていた。最近では、母が「アイロン」を手に葛藤していた。修理代見積りは一万円。新品は七千円ほどで買える。悩みぬいて、「教育のために修理にしよう。」と言っていた。ぼくは、インディアンのことわざを思い出した。「とうとう最後の木が切り倒された後で、とうとう最後の川が毒にまみれた後で、とうとう最後の魚が捕られた後で、初めてお金は食べられないことがわかる」

ワールドカップ期間中に、神戸チームの活動が紹介されるそうだが、試合の勝敗だけでなく、物を大切にすること、人を思いやること、自然を守ることなど、彼女たちの活動を通して日本の子ども達に考えてほしいと願う。

2002年 地球こどもクラブ賞(中学生部門)
山口県 中学2年 大矢 透