外務大臣賞(小学生部門)
『イモリから教わったこと』

 

北海道

倶知安町立西小学校樺山分校6年生

宮澤 さくら/Sakura Miyazawa

 

 わたしの家ではアカハライモリを飼っています。アカハライモリは北海道には生息しない生き物です。このイモリがわたしの家に来たのは二年前の夏のことです。

 わたしたち家族は、毎年夏休みに合わせて四国の徳島県に遊びに行きます。二年前の夏、たまたま遊びに行った知り合いの家の近くの小川でこのイモリを見つけました。わたしはすぐにつかまえました。学校の授業でイモリとトカゲの違いについて勉強したときから、ずっとイモリを飼ってみたいと思っていたからです。そして、わたしは家に連れて帰りたいと父に頼みました。母は野生の生き物なんだからやめなさいと反対しました。

 野生の生き物を飼うということは、責任が重大です。寒い北海道での飼育環境のこと、餌のこと、そしてどのように飛行機に乗せて帰るかという現実問題がたくさんありました。

 途中の図書館でイモリについてたくさん調べました。川水をたくさんペットボトルに用意して、飼育ケースに入れたイモリを大切に抱いて飛行場に向かいました。母は手荷物検査で絶対にダメだと言われると言いました。しかし、イモリは無事に検査のトンネルを通過、わたしたちといっしょに飛行機に乗って北海道へ到着、我が家の一員となりました。

 それからイモリの餌騒動がおこりました。調べた本には、赤身の肉や乾燥ミミズを食べると書かれてあります。しかしどれも食べません。困ったな、これじゃあせっかく連れて来た大事なイモリが死んじゃうと、とても心配しました。ある日父が、畑の生ゴミ用コンポストの中で大量発生したハエの幼虫(ウジ虫)をイモリの口に近づけてみました。するとイモリはパクリと食べました。よほどお腹がすいていたのか、すごい勢いでした。

 このときわたしは、野生の生き物は野生の生き物しか食べないんだということが、ようやく分かりました。それ以来、わたしの家では、イモリが一年中生きたミミズが食べられるように、室内でミミズを飼育しています。うちのイモリはクネクネと体を曲げて抵抗する、生きた新鮮ミミズが大好物です。

 いのちある生き物が、いのちある別の生き物を食べて生きていくということは、わたしたち人間も同じです。動物の肉、海や川の魚を食べ、樹木から造られた家でわたしたちは生活しています。生物多様性の意味って、このことなんだなと思います。いろいろないのちがローテーションしていることなんだなと思います。わたしはイモリからいろいろなことを教わりました。父は、イモリをそろそろ徳島の川にもどしてやろうかといいます。さびしいけど、生きている仲間として当然のことかなと思ってきました。

 地球を守ることでわたしが今できることは、いのちあるものを大切にすること。もちろん自分のいのちも。ありがとう、イモリ。