2002年度環境大臣賞(中学生部門)〜優しさと想像力をもって

環境を守ることは誰もが大切なことだと感じていることです。一人ひとりが身近に出来ることを続けることが、環境を守ることになるともよく聞きます。でも僕には何だか物足りなく、何だか頼りなく感じるときがあります。一人ひとりが環境を守ろうとすることを、社会が支えていくような仕組みが、出来ていないと感じることがあるからです。

例えば、古紙100%・白色度70の再生紙ノートの値段は、普通のノートと比べて同じか二十円ぐらい高かったりします。また堂々とリサイクル製品だと表に表示されているわけではなく、ほとんどのノートでは古紙の含まれている割合も表示されていません。

環境に優しい製品を選ぼうとしても、利用する人が迷ったり、損をするのはとても残念なことです。環境を守ることを製品を利用する人ばかりが考えるのではなく、国や企業も一体となって取り組める仕組みを作ることが、最も大切なことの一つだと僕は強く思います。

例えばその商品がどれくらい環境に影響を与えるかで、税金に差をつけたり、補助を与えてはどうでしょうか。そしてどの程度環境の事が考えられ、補助を受けて作られた商品かが、一目で分かるような表示を付けるのです。(その基準は製品を利用している間だけではなく、原料の運搬、製造、使い切った後のリサイクル率など総合的に決められるものでなければなりません)そうすれば買う人は、少なくとも自分の環境に対する考えに基づき選ぶことが出来ます。そして表示されている値は、価格にも反映している事をみんなに知ってもらうのです。買う人の立場からすれば、表示値の高い方が、多くの補助を受け価格が安くなると喜ばれるし、多く売れるのであれば、企業もますますリサイクルしやすく、環境を考えた商品を開発するに違いありません。

このような、企業には環境を大切に考えることが利益につながり、製品を利用する人には安く購入出来るという背景があれば、環境を考えることが、自然な形で社会の常識として根付いていくのではないかと思います。

僕には夢があります。一人ひとりが環境の大切さを想い何かを始める日。一人では出来ない事をみんなで知恵を出し合い、みんなで歩み出す日。そしてとうとう環境保護という言葉のなくなる日。その日が来ることです。

どんな品物でもいつかは使えなくなりゴミになります。またどんなに公害を出さない工場を作り、どんなに上手な法律を作っても、人間が自然を大切に思う心が原動力でなければ環境を守ってはいけません。大切なことは想像力と優しさを持つことだと僕は信じます。

動物を殺さない事や木を植える事だけが環境保護ではないはずです。環境を守ることは、一人ひとりに違った意味や方法があることを忘れず、僕は僕に出来きる事を、考え、学び、行い、見定めていきたいと願っています。

2002年 環境大臣賞(中学生部門)
福井県 中学校2年 上坂 栄太