環境大臣賞(中学生部門)
『人間の使命』

愛知県

名古屋市立東星中学校3年生

雲井 悠里菜/Yurina Kumoi

 私は小学四年生の頃、地元で行われた愛知万博によって生物多様性というものを意識し始めました。きっかけは万博の日立グループ館でした。そこで初めて絶滅危惧種という言葉を知ったのです。人間が木を切りすぎた為、動物たちの住む場所がなくなって、どんどん死んでしまっていることが悲しく、そして衝撃的だったことを今でも覚えています。

 あれから五年。私も中学三年生になりました。これといって何も大きなことはできませんでしたが、いろいろなことを学び、経験しました。まず、近くにある東山の森へ季節ごとに生態調査へ行き、マップなどにまとめました。以前は同じような木がただ並んでいるようにしか見えなかった森が今では、たくさんの種類の動植物が詰まった大切で守るべき森に見えるようになりました。

 また、藤前干潟にも行きました。干潟は渡り鳥の重要な休息地である為、人間の勝手な行動によってごみの埋め立て地などに利用することは決していけないということが実際に見て改めて感じました。

 このように実際に見て感じることで私の意識はどんどん高まっていきました。そして生物多様性について詳しく知った今、自分が守っていく人になろうと決意したのです。

 そこで私は学校全体で生物多様性保全活動に取り組みたいと思い、生徒会に入りました。名古屋市で行われていたレジ袋を断るともらえるエコクーぴょんというシールを回覧板を利用して地域で回収しました。また、より多くのシールが回収できるよう、近くのスーパーや公共施設にも回収ボックスを設置したら、シールは五万ポイントを超え、平和公園にユリの木二本を植樹することができたのです。こうやって緑を増やし、動物たちが住むことのできる環境をつくっていきたいです。

 私はこの五年間を通じてたくさんのことを学び、経験しました。でも私だけの力では何もできないことも知りました。だからまず、「生物多様性」とは何なのかを学校、地域、日本全国、そして世界へ広め、多くの人に知ってもらうことから始めていくことが大切だと思っています。今年は地元名古屋で「COP10」が行われます。これをきっかけに一人でも多くの人に知ってもらうために、生徒会月刊誌も発行しています。

 そして私が今、一番感じていること。それは地球がつながっていて、それぞれが影響しあってできています。だからこのままだと人間も絶滅危惧種になってしまうということです。それを阻止するためには、他の動物たちを守ることが必要です。他の動物たちを守るためには人間が壊してきた自然を守ることが一番です。それができるのは人間だけなのです。人間には知能と自然を壊した責任があります。だから生物多様性を守ること、地球を守ることが人間の「使命」なのです。