審査委員長賞(小学生部門)
『温暖化と人間の使命』

 

愛知県

稲沢市立六輪小学校6年生

横井 泰周/Taisyu Yokoi

 

 今、地球が抱えている大きな病、「地球温暖化」は、刻一刻と地球を蝕んでいる。そのせいで大きなダメージを受け、地球から姿を消したり、消えかかっている多くの生物の事がいろいろなメディアで報道されている。

 しかし、消えていくのとは反対に、これから活性化していくと思われる生物がいる。それは、例えば「死滅回遊魚」と呼ばれる魚たちだ。

 ぼくとそのお魚との出会いは、二年前にさかのぼる。新聞に特集がのっていたのだ。彼らは毎年夏頃に熱帯の海から暖流に乗って、卵や稚魚のまま本州からやって来る。そして、冬になって水温が下がると寒さに耐え切れずに、流れ着いた先で死んでしまう。そういうことを永遠にくり返すとてもかわいそうな運命を背負っていると知り、ぼくは彼らを一匹でも多く救いたいと思った。

 そこで、潜水道具と大きなあみを用意して、死滅回遊魚救出作戦を開始した。

 まずは、その年の冬に串本、次の春に房総へ出かけて磯の調査をしたぼくは、悲しみながらも死滅回遊魚が冬に死んでしまうことを納得した。ところが、その翌年になると流れ着いた地で越冬する者が増えているという情報がネットにあった。最愛の熱帯魚の死にがっかりしていたぼくは、その情報に飛びついた。そして、早速串本と伊豆へ再調査へ出かけた。その結果、死滅回遊魚達は確かに越冬していることが確認できた。海に潜ったぼくの目に大きくなったスズメダイの姿が映った時、ぼくの胸は言葉で表現できないくらいの喜びでいっぱいになった。

 しかし、旅を終えてよく考えてみたら、ある点に気付いた。彼らが越冬するには暖冬が必要で、そこには温暖化が影響している。つまり、彼らの長生きを応援することは、温暖化促進の応援につながるというものだ。それではいけないと、ぼくは悩み考えた。これから一体何をすべきかと。

 地球上の生物達は、環境と気候に合わせてけん命に生きてきた。そして、体形を変えたり、生息域を変えたりしながら、気が遠くなるような年月をかけて少しずつ多様化してきた。だから、ひょっとすると熱帯魚達も、寒くても生き延びられるように進化しているのかもしれない。

 地球上の生物は魚だけではない。植物やほ乳類、は虫類、両生類もみんな宇宙船地球号の乗組員だ。もちろん人間も、絶妙なバランスを保つ生態系の内の一部だ。しかし、一部でありながら一番偉いという顔をして自らの利益だけを追って環境を破壊してきのも、人間だ。このままでは自分達が滅亡することに気付いていない人が多い気がする。だから、ぼく達人間は、他の生物の事をもっと知り、考えていくべきだと思う。ぼくも、これからさらに魚達の事を調べ、考えていきたい。